スペインで検出されたアフリカ豚熱(ASF)の発生の動向は、衛生当局と世界の養豚セクターによって注意深く監視が続けられています。たとえ病気が野生動物に限定されていて、商業的農場では発生が報告されていないとしても、この新たな状況は、ウイルスの拡散を抑え、チリのような病気の清浄国の衛生状態を守るためにバイオセキュリティと国境管理が引き続き重要であることを裏付けています。
スペインの農業・漁業・食料省による直近の公式情報によれば、発生は、引き続きカタルーニャ地方の野生の猪に限定されていて、合計15の発生源と85の陽性動物が確認され、すべては、最初の発生場所から定められた半径20キロ圏内となっています。また、政府獣医サービスが疫学的監視を強化し、感染地域およびその周辺で追加に500頭以上の動物を分析しましたが、すべて陰性の結果が出ています。このようにして、発生源の封じ込めと限定されたエリア外へのウイルスの拡散防止が強化されています。
発生源については、最初の症例が検出された後、カタルーニャ州政府当局が、同地方にあるIRTA-CReSAリファレンスラボとの関連性の可能性が示されていた暫定的な仮説について、調査を開始しました。しかし、その後の分析で、発生事案が同センターにおけるバイオセキュリティの不備に起因するものであるということは否定されました。遺伝子シークエンシングによって、ラボで使用されるウイルスの参照株が発症を引き起こした株と一致しないことが示されたのです。暫定的な分析は、新たな、もしくは、まだデータのない変異株の存在を示唆しています。但しまだ、欧州のリファレンスラボで完全なシークエンンシング研究が続けられています。
貿易へのインパクトと国際的な商流の再構築
貿易面では、ASF発生に対する国際的な反応は様々でした。いくつかの国は、スペイン産の豚由来の食品を全面的または部分的に禁止することを選択しましたが、一方、欧州連合が定めた方針に沿って、地域分割化もしくはゾーニング方式を適用した国々もありました。ASFの発生は、スペインが豚肉の世界主要輸出国の一つとしての役割を担っていることから、国際的な商流に大きな調整を引き起こしました。
チリにおいては、衛生予防の強化が維持されました。農業・牧畜庁(SAG)は、欧州連合によって定められた地域分割化を認め、感染地域由来の製品、または衛生的なリスクの高い期間に生産された製品に限定した規制を適用し、国際基準に沿って、リスクに応じた対策を取りました。スペインからの輸入は全体の内のごく一部であることから、直接的な貿易による影響よりも、国の動物衛生状態を守ることが優先されました。
防疫最前線としての国境
こうした状況の中、チリの衛生当局は、国境をウイルス侵入のリスクがある主要な場所の一つと認識し、国境での管理を特に強化しました。ここ数日、SAGは、ハムや腸詰、その他加工品といった、スペイン産の豚由来の製品の持ち込み禁止を厳格に遵守するよう、入国する旅客に繰り返し呼びかけました。そうした製品は、明確な販売ラベルを持っている場合でも、ウイルス侵入経路となり得ます。
当局は、旅客の荷物で検知されたすべての豚由来の製品は、没収・処分され、申告しない場合には処罰の対象になることを注意喚起しました。アフリカ豚熱が人に影響することはなく、肉を食べても感染しないとしても、万一チリに侵入した場合には、輸出市場の即時閉鎖と国内の養豚への深刻なダメージを含め、衛生面および経済面で大規模な影響をもたらします。
こうした国境管理の強化に加えて、農場や食肉処理・加工工場、および生産チェーンのその他重要ポイントにおけるモニタリングを通じてSAGが国内レベルで維持している継続的な衛生監視、そして税関や港湾当局、航空会社、民間セクターとの積極的な連携が行われています。これは、お互い緊密につながった世界において、実効性のある衛生対策や広く浸透したコンプライアンス文化がなければ、動物の病気は素早く国境を越えることを認識した上での包括的で予防的なアプローチです。
国際的な経験は、局所的な発生を超えて、輸出国の主たる強さが、先を見越す能力と早期対応、そして衛生面での信頼性にあることを示しています。その意味で、バイオセキュリティは、技術的な役割を果たすだけでなく、チリの養豚セクターの競争力と持続可能性のための戦略的要素となっています。
スペインのケースの動向は、“衛生状態を維持するには、特に入国地点における継続的な監視と共同責任、厳しい管理が求められる”という、既に知られているものの、常に有効な教訓を再認識させるものです。継続的かつ変動性の衛生リスクがある世界的な状況において、動物の健康を守ることは、同時に、チリの生産の発展と国際的なプレゼンスを守ることにつながります。