シンガポール:チリの豚肉・家禽肉輸出にとってポテンシャルのある相手先

極めて発展した経済と住民の食料の90%以上を輸入に依存しているシンガポールは、チリの食肉輸出にとって興味深い市場である。そうした状況の中、シンガポールの食肉セクターのインポーター、ディストゥリビューター、加工業者100社近くをまとめる団体の食肉輸出入協会(Meat Traders Association MTA)が、新たな協力の機会を探るため、チリカルネの代表とオンライン・ミーティングを開催した。

イベントは、タマラ・ビジャヌエバ駐シンガポール・チリ大使の言葉で開会された。大使は、この歩み寄りを前向きに評価し、太平洋同盟・シンガポール自由貿易協定(PASFTA)の枠組みにおけるその重要性を強調した。

「食肉取引におけるチリとシンガポールの連携は、貿易の機会だけでなく、もっと大きな意味を持っています。つまり、食品安全、品質、持続可能な開発へのコミットメントを共有していることを表しています。長期的な実りある関係を構築するためのすべてが、私たちにはあるのです」と、大使は指摘した。

イベントの間、チリカルネのビジネス部長ロドリゴ・カスタニョンは、チリの豚肉・家禽肉セクターの主な強みについて説明し、強固なバイオセキュリティ、トレーサビリティ100%のモデル、高い衛生・環境基準の履行により、世界の最も要求の厳しい市場において信頼できるサプライヤーとしてチリがポジショニングしていることを強調した。

チリカルネにより紹介されたチリの食肉産業の最も重要な強みの中で特に強調すべきことは以下の通りである。

  • バイセキュリティ:チリは、PRRS, ASF, 高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)といった病気の清浄国である。
  • 食品無害性:残留物の厳格なモニタリング、抗生物質の責任ある使用、厳しい国際規則の履行
  • サステナビリティ:ふん尿処理技術、排出量の削減、水の再利用、アニマル・ウェルフェア認証

一方、シンガポール食肉セクターのキーパーソンである食肉輸出入協会(MTA)の会長ケニー・トウは、協会が食品安全の強化、調達先の多様化、業界のデジタル化の推進、責任ある労働実践の促進に焦点を当てていることを、強調した。これらの優先事項は、品質、トレーサビリティ、サステナビリティへのコミットメントを反映している。こうした価値は、チリの豚肉・家禽肉セクターの原則と一致していて、強固で永続的な貿易連携の強化を促すものである。

現在、チリの食肉生産の86%、輸出の90%は、豚肉と家禽肉が占めていて、主な輸出先は、韓国、日本、中国といったアジアである。1人当たりのGDPが9万ドルを超え、安全で高品質な食品への需要が増加しているシンガポールは、輸入製品の重要な受け入れ国であるだけでなく、チリの輸出を東南アジア全体に向けて展開するための戦略的流通プラットフォームとしても機能する。

チリ産食肉にとって高いポテンシャルを有する輸出先

シンガポールは、食品、特にチリ産豚肉・鶏肉の輸出産業にとって優先度の高い市場である。この小さな東南アジアの国は、64の島々から構成され、面積はわずか728㎢程度であるものの、600万人以上の人口を擁し、極めて高い人口密度と、サービス、技術、先進産業に基づく、洗練された経済とを組み合わせている。

シンガポールを重要な市場にしている主な特徴は、食品を輸入する構造的な必要性である。つまり、農業に利用可能な面積がわずかであるため、消費する物の90%以上は外国産なのである。動物性タンパク質の消費については、年間1人当たり38.9㎏と、鶏肉の需要が最も多く、それに、1人当たり22㎏の豚肉が続いている。冷蔵肉への依存を下げ、食料安全保障を強化するため、政府は、“イート・フローズン・ポーク(冷凍肉を食べよう)”というキャンペーンを推進している。これは、冷凍豚肉の消費を促進し、国際的なサプライヤー・ネットワークを多角化、拡大することを目指すものである。

その戦略的立地や特徴により、シンガポールはまた、東南アジアへのロジスティクスおよび貿易のハブとして立場を築いている。シンガポールを通じ、チリの製品が同地域の他の市場へアクセスし、展開しやすくなる。また、人口の40%近くが外国人という人口構成の多様性や年間1,650万人以上が同国を訪問することから、幅広い、洗練された、多文化の食品需要が見込める。

チリカルネとシンガポール食肉輸出入協会(MTA)との会合は、両国間の長期的な通商関係を強化するための重要な一歩である。よりレジリエントで、持続可能、トレース可能な食料システムが求められる世界の状況において、この連携は、チリが東南アジアの市場で信頼できる戦略的なサプライヤーとして立場を固めるための新たな機会を開くものである。